216: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:18:08 ID:5XF
イギリス ブレッチリー・パーク 政府暗号学校



校長「……次は数学者か」

校長「まったく、面白い顔ぶれだな。言語学者、古典学者の採用はわかるが……」

校長「チェスのチャンピオンに、クロスワードの名人だと? 暗号解読に関係あるのか……?」

戸<コンコン

校長「お、時間丁度だな。入りたまえ」

校長「さて、その椅子にかけてくれるかな? まず君の名前を聞こうか」



彡(゚)(゚)「私の名前はアラン・チューリング。数学者です」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1502169099/
217: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:21:35 ID:HAg
こいつがエニグマを破るんか

218: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:21:45 ID:5XF
校長「ふむふむ、チューリング君はなかなかすごい業績を残しているようだね」

校長「ケンブリッジ大学のキングス・カレッジに入学し、22歳で特別研究員に選ばれる……」

校長「その後、渡米し、プリンストン大学にて、博士号を1年半で取得……か」

校長「普通は、取得に三年かかると聞いたがね……まさしく天才と呼ぶにふさわしいな」

彡(゚)(゚)「はえ~そうですか」

校長「……ああ、そうだと思うよ」

校長「さて、チューリング君、私達が君を招聘した理由はわかるだろう?」

彡(゚)(゚)「ドイツの難解な暗号に対抗するため、暗号解読者を集めていると……」

校長「その通りだ。ポーランドが数学者を起用していたことに倣い、イギリスも数学者を採用する方針を固めたそうだ」

校長「受けてくれるな?」

彡(゚)(゚)「まあ、受けるも何も、一年ほど前からこの暗号学校で働いてましたからね」

彡(゚)(゚)「場所が変わっただけですし、引き続き、ここブレッチリー・パークで解読に励みますわ」

校長「そうか、それなら『これからもよろしく』が正しいかな。ついてきなさい。ドイツの暗号機をお見せしよう」

219: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:23:05 ID:Uj7
喜べ、コイツホモやぞ

220: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:24:17 ID:5XF
校長「これが、暗号機エニグマだ」

彡(゚)(゚)「はえ~、こんな小さい箱があの暗号を……」

校長「ポーランドの暗号局はその暗号を解読したらしいがな」

彡(゚)(゚)「ファッ!?」

校長「大戦前に、その解読方法を英国に伝えてきたようだが、いやはや驚いた。ポーランドの解読技術は我々の10年先をいっていたのだ」

校長「だが、そのポーランドも今ではああなった……。これからは我々がエニグマを解読せねばならない」

彡(゚)(゚)「……お言葉ですが、そのポーランドが渡してきた解読法でええんちゃいますか?」

校長「もちろん、そうするつもりだ。だが、この解読法は、6文字暗号というシステムが使われているからこそ可能なのだ」

校長「ドイツが6文字暗号の弱点に気付いたら? このシステムは改変され、ポーランドの解読法は使えなくなるだろう」

校長「つまり、6文字暗号に依らない解読法が必要になる。それを見つけるのが君の仕事だ」

彡(゚)(゚)「ほーん。まあ何とかしてみます」

221: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:27:06 ID:5XF
彡(゚)(゚)「あの後、解読法聞いてみたけど、ポーランドも上手くやったもんやなぁ」

彡(゚)(゚)「結局、物資と人手不足で断念か……。まあ、ボンブ60台用意すんのも、イギリスやったら楽勝やろ」

彡(゚)(゚)「とはいえ、安心はしてられんな。校長の言うとおり、いずれはボンブも使えなくなるやろうし」

彡(゚)(゚)「6文字暗号に依らない解読法……」

彡(゚)(゚)「要するに、暗号文から直接、平文にいたる何かを見出す方法ってことやな」

222: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:30:21 ID:5XF
――


彡;(゚)(゚)「ぜえ……ぜえ……」コギコギ


彼の一日は、自宅からB.Pまでの5kmの道を自転車で踏破することから始まる


彡;(゚)(゚)「ぜえ……やっとついたで」



彡(゚)(゚)「さて、今日も、解読法を考えなあかんな」

彡(゚)(゚)「ん? これまでに解読された暗号が溜まっとるやんけ! 解析したろ!」

彡(゚)(゚)「えーと、これはX月X日6時5分『今日の天気は晴れ、……』。気象観測所からのメッセージやな」

彡(゚)(゚)「お、これも気象観測所のやつや。Y月Y日6時5分『今日の天気は晴れ、……』」

彡(゚)(゚)「これもやんけ! Z月Z日6時5分『天気は……』」

彡(゚)(゚)「はえー、気象観測所は6時5分に天気予報を通知するんやな」

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「『天気』?」

彡(゚)(゚)「ドイツ語やと……えっと『wetter』やな」

彡(゚)(゚)「なんや、これはつまり……」

彡(゚)(゚)「気象観測所が6時5分に出す暗号文には、必ず『wetter』が入ってるってことちゃうんか?」

223: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:33:41 ID:5XF
( ゚∀゚)「チューリング? どうした」

彡(゚)(゚)「ヒューか。いや、『wetter』が必ず含まれる文があるって話なんやけど……」


( ゚∀゚) ヒュー・アレグザンダー 英国のチェスチャンピオン チューリングと同じ第八兵舎の解読員


( ゚∀゚)「ほうほう、そいつは興味深い。解読された暗号文を詳しく調べてみようか」

彡(゚)(゚)「ふむふむ……」

彡(゚)(゚)「ほとんどの文書に入っとるのは『EINS』(英語でいうa,an)やな。」

( ゚∀゚)「『FORT』(前の文と続く)なんかも頻度が高いぜ」

彡(゚)(゚)「『WEWA』(wetter warte=気象観測所)とかもよく出る単語やな」



こうした、暗号文中に高い確率で含まれる単語や決まり文句を『クリブ』と呼ぶ
クリブはエニグマ解読への重要な足がかりとなるもので、戦争が進むにつれ、より洗練されたクリブが生み出されていく

224: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:36:29 ID:5XF
しばらくして……


( ゚∀゚)「ククク……あれから解読員が全力でクリブを探してやがるぜ」

( ゚∀゚)「しかし、笑えるのが『Heil Hitler』(ヒトラー万歳)っていうクリブだな。忠誠心が仇になってんじゃねえか」

( ゚∀゚)「もっとも、これらが暗号文のどこに入るのかわからなければ、意味が無いんだがな」

彡(。)(。)「その通りや。『wetter』みたいな位置が確定しとるクリブもあるけど、全てのクリブがそうというわけやない」

彡(゚)(゚)「100%特定……とまではいかずとも、いくらか候補を除外できる方法があればええんやけどな」

225: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:39:45 ID:5XF
開戦からの1ヶ月は、いかなる解読法をもってしてもエニグマを解読することが出来なかった


彡;(。)(゚)「あかん! どないすればええんや!」

(;゚∀゚)「もしかして、新しいローターを追加しやがったか……?」

彡;(゚)(゚)「……ポーランドの解読者らは今どこに居るんや?」

( ゚∀゚)「確か、パリに亡命中だとか何とか……」

彡(`)(´)「もう我慢ならんわ! ワイは会いにいくで!」

(;゚∀゚)「へ!? もしかして、彼らにか?」

彡(゚)(゚)「ああ、そんで助言を貰うんや。解読のヒントがあるかもわからんしな」

チューリングと数人の解読者は、知識の補填、問題解決のため、パリへ渡った

226: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:42:29 ID:5XF
1940年 1月

彡(゚)(゚)「こんにちは、ポーランドの解読者の方々ですね。ブレッチリー・パークより来ました、アラン・チューリングです」

(*^◯^*)「こんにちは……マリアン・レイェフスキです」

(●△●)「ヘンリク・ジガルスキです」

(*^◯^*)(この人が、僕たちを継ぐ解読者……。でも、数学者といっても、暗号に関しては初心者なんだろうなぁ)

彡(゚)(゚)「ほんで――というところに困ってまして……」

(*^◯^*)「それなら――ということで……」

(●△●)「僕らは他にも――といった方法で……」

彡(゚)(゚)「はえ~なるほど。そういう方法もあるんですなぁ」

(*^◯^*)(もう理解したのか……早いんだ)

(●△●)(エニグマに対して、深い知識を持っているなぁ)



(*^◯^*)(この人達になら……)

(●△●)(託せるかもしれないね……)

227: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:45:17 ID:5XF
そして、解読が進まなかった原因だが、実に単純なことだった


(;*^◯^*)「……」

彡(゚)(゚)「ん? どないしはったんですか?」

(;*^◯^*)「僕たちがイギリスに渡したローター4,5の情報なんだけど……」

(;*^◯^*)「そこに間違いがあったみたいなんだ」

彡(゚)(゚)

(;*^◯^*)「いや……まあ、人間、間違いはあるってことで……許してほしいんだ」

(;*^◯^*)「ホントにもう……笑えちまうんだ。アッハッハ……」

彡;(^)(^)「そ、そうやな、間違いくらいあるわな! アッハッハ……」

(*^◯^*)「「アッハッハッハ……」」彡(^)(^)

228: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:46:07 ID:mTR
なにわろてんねん

229: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:48:42 ID:5XF
|  |
| ∥          (゚)(゚)ミ -_死にさらせ!腐れポーランド人が!
| ∥ グチャァァッ!!  つ  ミ  ─_____ ___
|  从ノ    (ミ_(⌒\ ヽ _ ___
( (≡ ̄ ̄ ̄ ̄三\ ⌒ノ ノ)
|(つWつ  ̄ ̄\  ⌒彡)   ノ =_
| \つ-つ     \,__,ノ ノ
|  | )       / / ≡=
|  |       / ノ      ____
|  |        /ノ _─ (´⌒(´
|  |        ミ/= (´⌒(´⌒;;
| ''''""'''"'''"""''"""'''''"'"''''""''"''''"""''"''"''"'''"''''''''"''"()

1月17日 この滞在中にエニグマを解読
戦時に送信された暗号を解いたのは、これが最初となる

230: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:51:18 ID:5XF
彡(゚)(゚) カチャカチャ

帰国後、チューリングはあるマシンの開発に取り掛かる
パリ滞在のときにはすでに、そのマシンのシステムを考案していた

以前に、クリブからの解読法を編み出していたが、それも限界に近いからだ


~~~~~~~~


彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚) 

彡(゚)(゚)「そういえば、エニグマって同じ文字に換字せえへんよな」

( ゚∀゚)「?」

彡(゚)(゚)「言葉足らずやったな。『A』を打ち込んだら、絶対『A』に換字されへんやろ?」

( ゚∀゚)「ああ、そういうことか。そうだな、換字前の文字と換字後の文字が一致することは絶対にねえ」

彡(゚)(゚)「……」


自己換字不可性――これは、エニグマ暗号機の構造からくる致命的な弱点だった

232: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:58:07 ID:imS
欠点になるんすねー

233: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)22:58:22 ID:5XF
彡(゚)(゚)「この性質を使えば、かなりの候補を除外できると思うで」

( ゚∀゚)「……換字先の候補が26通りから25通りに減っただけだろ? どうやってだ」

彡(゚)(゚)「『ZUSTANDOSTWAERTIGERKANAL』(東海峡の状況は)という、24文字のクリブを使って説明するで」

彡(゚)(゚)「例えば、下の暗号文のどっかが、このクリブの変換された箇所やとするやろ?」

※画像に誤字 平文→クリブ
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彡(゚)(゚)「この時、暗号文の最初の24文字がクリブと対応してることはない。なんでか分かるか?」

( ゚∀゚)「……わかんねーな」

彡(゚)(゚)「『W』の位置で衝突しとるからや。W→Wと変換されることはないんやから、この位置にクリブが来ることはありえへん」
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234: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)23:01:48 ID:5XF
彡(゚)(゚)「次に、クリブを1字ずらして、同じように検証する」
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彡(゚)(゚)「さて、2~25文字目がこのクリブと対応しているかどうか……」

( ゚∀゚)「……対応してねえな。『O』で衝突している」
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( ゚∀゚)「つまり、ここにクリブが位置することもねえわけか」

彡(^)(^)「その通りや。これを繰り返して、どの文字とも衝突せん箇所が、クリブの位置候補というわけやな」

彡(゚)(゚)「この方法は、クリブが長いほど効果があるで。間違った位置で検証したとき、衝突する確率が高いしな」

( ゚∀゚)「ほう……これは使えるな。大方の位置が分かるときの絞り込みに使えばいいのか」


この方法で、暗号文とクリブの位置関係を明確にし、エニグマをいじって設定を特定する……
ローターをぐるぐると回していることからだろう。この解読法は『ぐるぐる回し(twidding)』と呼ばれた


~~~~~~~



彡(゚)(゚)(ぐるぐる回しは、最初こそ解読できてたんやが、あんま成果が上がらんようになってもうたからなぁ) キューンキューン

彡(゚)(゚)「この解読マシンでなんとかせなあかんな」ガガガガガ

235: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)23:06:40 ID:5XF
彡(゚)(゚)「よっしゃ、できたで! みんな、見てくれや!」

( ゚∀゚)「お、とうとう出来たのか。例のマシンが」

(☆…●)「さて……どんなものか見せてもらおうか」



(☆…●) ゴードン・ウェルシュマン ケンブリッジ大学の天才数学者




彡(゚)(゚)「ワイの魂を込めたマシン、見て驚けや!」

彼がお披露目したそれこそ、エニグマ解読の大きな前進へ繋がるマシン

『ボンベ』であった
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236: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)23:09:22 ID:imS
デカァイ!

237: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)23:10:11 ID:5XF
ほな今日はここまでや



※第八兵舎は、1940年にチューリングが作り上げた海軍のエニグマ機を解読するチームである
厳密に言うと>>223の時点では第六兵舎にいるが、ここらへんは略す

239: 名無しさん@おーぷん 2017/08/20(日)23:12:46 ID:lne
金の卵を産む、鳴かないガチョウたち』すこ

チャーチルはこう言ったフレーズからも文才が滲んでいるわ

242: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:25:18 ID:wDu
( ゚∀゚)「こいつが『ボンベ』か……なんか、縦に3つ並んだ筒が、横にずらっと並んでいるな」

彡(゚)(゚)「これは疑似ローターや。3つの筒が1つのエニグマになっとるわけやな」

(☆…●)「仕組みが気になるな……簡単にでいいので教えてくれないか」

彡(゚)(゚)「了解や」

彡(゚)(゚)「まず、解読機と銘打っとるが、なにもスカンピンで解読できるようなハイパーマシンやない。解読するにはクリブが必要や」

彡(゚)(゚)「クリブをどういうふうに使うかっちゅうことやが……ポーランドの解読法を覚えとるか?」

(☆…●)「確か、6文字暗号の中からループを見つけ出したのだったな」

彡(゚)(゚)「せや。連中はx文字目とx+3文字目の対応から、ループ構造を見出したわけやけど……」

彡(゚)(゚)「ワイは、暗号文と平文の対応からのループ構造を利用しようと考えたんや」

彡(゚)(゚)「いくら、エニグマの構造や送信方法が変わろうが、暗号文と平文だけは絶対あるしな」

243: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:28:13 ID:wDu
彡(゚)(゚)「具体的に説明するで。まず『wetter』が『ETNWGH』に換字されると仮定する」

彡(゚)(゚)「最初の一文字『w』を入力するときのローター設定を『S』としとくで。この設定Sを求めたら、解読できるわけや」

彡(゚)(゚)「そして、『w』を打ったあと、ローターは1目盛動くやろ? その時の設定は『S+1』や」

彡(゚)(゚)「これを表にするとこうなるで。」
1FpVgE9
彡(゚)(゚)「そして、この中にあるループは次の通りや」

彡(゚)(゚)「設定Sでの w→E   設定S+1での e→T   設定S+3での t→W」

(☆…●)「w→E、e→T、t→W…… W→E→T→Wでループするわけか」

245: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:31:05 ID:wDu
彡(゚)(゚)「そして、ループと聞いて、身近にある、あれを思い浮かべへんか? 『一周』と言い換えてもええ」

( ゚∀゚)「……マシンに関わるもんなんだろ? だいたい想像はつくな」

( ゚∀゚)「『電流』か?」

彡(^)(^)「ご名答や。ボンベは、正しい設定を見つけた時、電流が流れるような仕組みになっとるんや」

彡(゚)(゚)「なんでそんなふうになるのか……少し難しくなるんやけどな」

彡(゚)(゚)「『設定Sで、w→Eに変換される』を言い換えれば、『設定Sだと、入力端子(w)からの電気信号は出力端子(e)へと流れる』ってことや」

彡(゚)(゚)「同様に、設定S+1では、入力端子(e)から出力端子(t)へと流れるし……」

彡(゚)(゚)「設定S+3では、(t)から(w)やな」

246: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:34:08 ID:wDu
彡(゚)(゚)「そして、エニグマを三台用意する。全て、同じローター設定にしてから、一台は1目盛、もう一台は3目盛進ませておくんや」

彡(゚)(゚)「これにて、設定?、?+1、?+3のエニグマができたことになる」

彡(゚)(゚)「さて、これからや。設定Sでの出力端子は(e)、設定S+1での入力端子も(e)やろ?」

彡(゚)(゚)「これを結ぶ。つまり、設定?と設定?+1の端子(e)を導線でつなぐんや」

彡(゚)(゚)「他の端子も同様につないでいく。そうすれば、1つの回路が完成するはずや」

彡(゚)(゚)「後は、ローター設定を1目盛ずつずらしていって、電流が流れる設定を見つけ出したら勝ちや」

彡(゚)(゚)「間違った設定やったら、換字先の端子と導線で結ぶ出力端子が一致せず、電流が流れへんしな」

彡(゚)(゚)「小難しくいったけど、図解すればこんな感じや。四角いのがエニグマやで」
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247: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:37:07 ID:wDu
彡(゚)(゚)「この仕組みを、機能化したもんがボンベというわけや」

( ゚∀゚)「ほうほう、しかしよく一からこんなもん作ったな……」

彡(-)(-)「今までの研究が役立ったのもあるで。『万能チューリングマシン』っちゅうやつなんやけどな」

( ゚∀゚)「万能チューリングマシン?」

彡(゚)(゚)「せや。これは、無限の長さのテープに入力することで、いかなる演算をも可能にするっちゅう、思考実験上の仮想機械や」

彡(-)(-)「決定不可能な問題を探し出すためのアイデアやったんやがな……残念ながら、全て探し出すことは叶わんかったわ」


真偽を定められない命題も少数ながら存在するという『決定不可能性』
それならば、真偽をはかれるマシンを作り出せばいいのでは? という発想から生み出されたのが『万能チューリングマシン』である

『いかなる演算をも可能にする』 我々はこれに近しい機能を持つ利器を知っている


コンピュータ――アラン・チューリングは紛れもなく、現代コンピュータの父と言えるだろう

248: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:41:09 ID:wDu
1940年 3月18日より、初期型ボンベ『ヴィクトリー』が導入される
しかし、ボンベはチューリングの想定通りには、機能しなかった
1つの暗号の解読に一週間近くかかったのだ


彡()()「あかんか……やっぱ、プラグボードがネックやな」

チューリングは、プラグボードを考慮しなくてもよい配線を見つけ出していたが、それでも電気ループ26通りを検証する必要があった
17576通りを26回分検証するというのは、決して短時間に行えるものではなかった

(☆…●)「うむ……」

(☆…●)「チューリング君。このボンベだが、改善余地があるぞ。ここをこういうふうにして……」

彡(゚)(゚)「……はえ~」

(☆…●)「ここをこんな感じにすれば……これで、26通りの電気ループを一気に検証できるはずだ」

彡(゚)(゚)「ファッ!? こんなんでええんか! 改造したろ!」


チューリングとウェルシュマンは、改良を重ね、最新型ボンベ『スパイダー』を完成させる

解読時間は大幅に削減され、実用的な解読法が新たに生まれた

249: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:44:12 ID:wDu
ドイツ側のエニグマ運用面上のミスも、ボンベの解析を早めた



( ゚∀゚)「……クックック。ドイツ軍も迂闊だな」

彡(゚)(゚)「?」

( ゚∀゚)「ローター配置のことだがな……同じ位置に同じローターが、2日連続で配置されないことに気づいた」

( ゚∀゚)「つまり前日の配置が1-2-3だった場合、1-3-4とか、5-2-4とかはありえないんだ」

( ゚∀゚)「この法則に従えば、ローター配置は28通り除外できる。半分近くは削れるぜ」

彡(゚)(゚)「はえ~、撹乱するためかもしれんが、ワイらからしたらとんだ愚策やな」

( ゚∀゚)「そして、プラグボードも隣り合う文字は繋がねえ。配線も特定しやすくなるな」

( ゚∀゚)「極めつけはこれだ。メッセージ鍵も『Q-W-E』とか『B-N-M』とか、キーボードで隣り合っている文字が出やすいんだ」

彼らは、出現頻度の高いローター設定を『シリー』(cilli)と呼んだ
解読者達は、こういったショートカットを余すこと無く利用し、暗号を解読していったのである

250: 名無しさん@おーぷん 2017/08/23(水)22:47:14 ID:wDu
このころ――大西洋上のイギリス船に、不吉な影が忍び寄っていた


船員「大変です! 右舷船首と船尾全体に大きな攻撃を受けました!」

船長「くそっ! まさか……奴らか」

船員「あ! またもや衝撃が!」

船長「ぐっ! 沈む! 沈んでしまう!」

船長「おのれ……ドイツ軍めがああああああああああ!」


――


海へ消え行くイギリス船を見届けた後、3つの影は姿を消した
一糸乱れぬ統制、集団攻撃、襲撃されるまで気づきえぬ隠密性――それはさながら狼のように


ドイツ軍の潜水艦『Uボート』が牙をむき出した