425  名無しの司馬遷 2kxjvoO5i
19世紀後半に台頭し始めた新たな列強諸国。

そのなかでとりわけ予想外だったのは、ヨーロッパから地理的に遠く離れた極東の日本だった。

イスラーム世界では中世より、世界の東の果てに「シーン」という大帝国が存在することはよく知られていた。
また若干の地理書や世界図によれば、シーンの東には「シーラー」という半島があり、その沖合に「ワークワーク」という島国が存在していた。
しかし「ワークワーク」がいかなる国なのかについてはほとんど知られておらず、関心も持たれていなかった。

イスラーム世界はモンゴル帝国以降に一段と東方に拡大した。
しかしその前線は中国沿岸で停止し、それより先に進むことはなかった。
だから19世紀半ばに日本という国が国際政治上に姿を見せた時点では、イスラーム世界の知識人たちもこの国についてほとんど知らなかっただろうし、興味を持つ理由もなかっただろう。

ところがこの新興国家はアジアの数多の国々の中でも並ぶものがないほど急速に近代化を進め、東方世界の覇者であった大清帝国を破り、東ユーラシアの動向に大きな影響を与える存在となる。

そして1904年。
英国と結んだ日本は、かねて朝鮮半島と中国東北をめぐって対立していたロシア帝国と開戦する。
いかに新興の強国といえども所詮アジアの小国。さすがにロシアの勝利は動かないと世界中が予想した。

ところが日本軍は次々にロシア軍を破り、ついにロシアをシベリアに追いやることに成功する。

日本の勝利は、長らく欧州列強の圧迫に苦しむイスラーム世界に大きな驚きを与える。
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